2009年6月2日火曜日

長崎はってん

2009.5.30

 5時起き。支度をして外へ出た。快晴。朝陽が燦々と降り注ぐ。
 7時10分、大阪空港に到着。長崎行きJAL2371便に乗り込む。どうも体調が思わしくない。1時間のフライトに持ちこたえるだろうか。神経を狭めるとパニックを起こしそうになる。腰のベルトを緩め、気を落ち着けて、できるだけゆったりと……。
 空港から車で約40分。眼鏡橋のすぐ横、長崎市民会館に1年と3か月ぶりにやってきた。開演まで4時間ある。強烈に眠い。が、楽屋で寝るわけにもいかず。とはいえ、いつもなら周辺散歩に出かけるのだけど、今日は気分がすぐれないので外出したくない。なんじゃかんじゃしているうちに開場時間になった。
 今日の「文珍独演会」は14時開演。師があいだに長講『らくだ』を披露し、結局閉演は17時になった。なんと3時間コースの超出血大サービスだ。
 わたしはいつも、笛の演奏をしていないときは、舞台袖やステージ裏の機材道具置き場付近をウロウロして、ネタを繰ることが多いが、今日はとても奇妙なことが起こった。ほとんど明かりのない、平台や箱馬が積み上げられている隙間に立っていると、突然、上から右肩をグッと押された。なにかに引っ掛かったのか。いや、押されたのだ。たしかに上からの力で。振り返っても、そこは暗闇……だれもいない。ゾクゾクッとして、すぐにその場から離れた。
 長崎は公会堂でも過去に一度ある。わたしの高座中に作業服のユーレイが現れた事件。ま、オバケを怖いというより、愛すべき者達だとするわたしには、寄ってきやすいのかも知れない。……けど、やっぱり怖かった。
 打ち上げは、銅座の「銀鍋」という和食店へ。5年前にも来たことがある。お魚が旨い。ただ、わたしはポンポンがドンヨリと痛むので、酒を控え……、となると食も進まない。それでもよくいただいたほうだ。
 20時解散。師は数名を連れて思案橋のバーへ行かれた。わたしは重い胃を抱えて、ホテルに戻ってくると、市楼くんの誘いも断り部屋に入った。ここはグラバー邸のすぐそばに建つ。デッキから夜の港を眺めた。風が心地いい。




長崎

 とにかく横になりたい。
 それでもすぐには眠れない。ムクッと起き上がると、ベッドの上で『残月の譜』の稽古をはじめた。